元教師 黒目のブログ

元公立の教師で現在も子育ての世界で働いています。公教育、私教育合わせて約7年間仕事で子供を育てています。そんな中で役に立ちそうな知識や経験をアウトプットしていきたいと思います。

旦那と主婦の家事と仕事のバランスについて

こんにちは。
先日論文雑誌でこのような研究を目にしました。
「家事と仕事をめぐる夫婦の関係」(日本労働研究雑誌2020)
今日はこの論文の要約、自分の考えを記述していきたいと思います。

1.要約
まずこの論文では

なぜ男性も女性も家事や育児の負担感が高いのか。なぜ両立が難しいのか。

について述べられております。その前提を元に現代の夫婦関係を分析し,今後の家族の可能性について考察しております。
そして、生活時間から夫婦あるいは男女の家事と仕事の時間の配分についてもまとめられており、その結果、

平成 28 年の家事関連時間は男性 44 分,女性3 時間 28 分,男女の差は 2 時間 44 分である。

となっています。これは平成28年度の調査によるものですが、令和元年の「男女共同参画に関する世論調査」調査でも、

「夫は外で働き,妻は家庭を守るべきである」という考え方について賛成(「 賛成」と「どちらかといえば賛成」の合計)は 35.0%,反対(「どちらかといえば反対」と「反対」の合計)59.8%

という結果が出ております。
要するに新時代に突入しようとしている今この時代でも、外で父親が稼ぎ、家庭内では母親という、固定的な性別役割分業自体には反対の者が多くを占めているということですね。
ではなぜそのような結果になったかというと、まず賛成派の意見を数値化してピックアップしてみると、

「妻が家庭を守ったほうが,子供の成長などにとって良いと思うから」55.2%
「家事・育児・介護と両立しながら,妻が働き続けることは大変だと思うから」44.7%
「夫が外で働いた方が,多くの収入を得られると思うから」32.3%

という結果になりました。今の世の中にはこのような意見を持つ人の方が多いということですね。
ちなみに反対派の意見としては

「固定的な夫と妻の役割分担の意識を押しつけるべきではない」56.9%
「妻が働いて能力を発揮した方が,個人や社会にとって良いと思うから」43.3%
「男女平等に反すると思うから」40.0%

となりました。両方の側面から見てもどちらが一方が間違っているはっきり述べることは難しそうです・・・。
さらによくありがちな「平日は仕事で忙しいから休みの日に埋め合わせするよ!」というお父様の論理についても触れられており、

専業主婦の場合,休日の夫の家事は平日の埋め合わせになるが,妻が就業している場合には,「休日」の関与が「平日」の「埋め合わせ」にならないこと,特に正社員の場合にその傾向がより一層明確であることを明らかにした。

という危険性を示唆されております。
確かに単純計算して週7ある内週5は母、週2は父親だと3日分仕事量が違うことですよね 笑

以上の結果からの研究者の考察として、

ネガティブ・ケイパビリティが強く,人生の選択を真摯に考える者ほど家族生活を顧みない社会的な状態がこれからも続くのであれば,結婚しないという選択が夫婦の危機を回避するための最も優れた選択であるだろう

というように、これからの日本では結婚しないという選択が夫婦の危機を回避するための最も優れた選択であるという考えが増えるのではないかという危険性を示唆されておりました。

2.感想
この論文を見て
「え~男性と女性では家事一つとってもこれだけの時間の差があるんだ・・・」
と思いました。
漠然として「夫は家事を全然してくれない!」という声はよく耳にしますが、時間にしてこれだけの差があるとは思いませんでした:::
この記事を閲覧してくださった主婦の方も、自分の家事時間を数値化してみれば、自分がどれだけ家庭内で働いているかがはっきりとわかり、その上で旦那と建設的な意見ができるかもしれませんね。
ただ、この論文では家事と仕事についてのみ触れているので、結婚してどんな良いことがあるのか?どうすれば問題を解決できるのか?についてまではまた別の議論になります。
また時間があるときに、「どうすれば幸せな結婚ができるか?」について記述したいと思います。
本日は以上となります。
ここまで閲覧ありがとうございました。

 

参考文献:

男女共同参画社会に関する世論調査」の概要

https://survey.gov-online.go.jp/r01/r01-danjo/gairyaku.pdf

 

家事と仕事をめぐる夫婦の関係,永井暁子
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2020/06/pdf/038-045.pdf