元教師 黒目のブログ

元公立の教師で現在も子育ての世界で働いています。公教育、私教育合わせて約7年間仕事で子供を育てています。そんな中で役に立ちそうな知識や経験をアウトプットしていきたいと思います。

LD(学習障害)の小学生のお子さんを持つ保護者さんへ、あなたの身の回りの教育支援の現状をご存知ですか?

どうもみなさんこんにちは。
先日こんな論文を目にしました。

LD及びその周辺児に対する教育支援の実態と課題
https://core.ac.uk/download/pdf/144251643.pdf

私は公教育から離れており、現在民間教育機関に属しているので
「学校にいる間はLDの子たちはどんな環境で授業を受けているのだろう?」
と疑問を思っていました。
それらの疑問を解決すべく、今回この論文の要約&解説を行い、その後私の考えを述べていきたいと思います。

1.要約&解説
この研究ではLD及びの周辺児」に対する教育支援の実態と課題についての考察を進め、この子らへの教育支援の充実化に向けての一助となることを目的としています。
その方法として

岩手県内小学校における,LD児の実態に関する調査
岩手県M市における,LD児の教育支援体制に関する実態調査

によって教育支援の実態調査をしております。
①では県内公立小学校(調査時点で全493校、総児童数93345人)から202校(在籍児童数52681 人)を抽出し、その学校長及び学級担任(2,027学級)を調査対象としています。凄い調査数ですね!結果はというと、

168校中54校(32.1%)においてLD及びLDが疑われる児童が在籍していた。

ということがわかりました。やはりなんとなくわかっていたことですが、現在の公教育機関で多くの割合でLDの子供が在籍している事実が明らかとなりました。
では次に、それらのLDの子にどのような対応をなされたかというと

多くみられたのは,「担任による配慮指導」(89.5%),「教師間の共通理解の促進」(65.8%)であった。

であり、ほとんどは担任の先生の配慮に基づいて指導されているわけですね。
この数値をみただけでも担任の先生の仕事量の多さが伺えます。
そして実態との差を見てみると

導上の工夫としては「授業環境の配慮」,「集団構成の配慮」などが多く行われているが,指導上の配慮の達成度をみると,7割の担任が配慮不十分であるととらえているという結果が示された。

となりました。はやりLDの子まで手が回らいのが実態のようですね。
これは別に学校の担任の先生が能力不足と捉えるのではなく、単純にそれだけ手が回らない状況であるということなので、その点は誤解なさらないようお願いいたします。

では次に②の調査ではM市の公立小中学校58校(小学校38校,中学校20校)の校内就学指導担当教師、及び通常 学級担任(小学校582人,中学校284人)にアンケート調査を依頼しました。これも凄い調査数ですね!結果はというと、

多く見られたのは,「家庭との連携」(64.2%),「教師間での指導方法の共通化」(29.3%),「教員の正しい理解を促すための施策」(29.2%)であった。

とのことです。
それらの結果と実態の差を見てみると

・「家庭との連携」,「教師間での指導の共通化」といった点が多くみられ,T-T指導や通級指導はごくわずかしか行われていない。
・そうした現状に対して,保護者側の評価も,「努力しているが,まだ不十分」が6割を占めている。

などと現実と実態の差がまだまだあることが現実ということですね。

以上の結果をまとめると、今後の課題として

今後とるべき教育支援体制として「専門・関係機関との連携」ということの重要性を強く感じているが,実際的には掛け声だけで終わっている面が多く,具体化されていないという現状が示された。

となっています。要するに支援対象児童が多くいますが、それらの児童に対して有効な手立てが打ち出されているとは必ずしも言えず、多くは学級担任の先生の努力に任せられているというのが現状である。ということですね。

2.考え&感想
私が在籍していた時もそうでしたが、やはり公教育でLDなどの発達障害の子供支援する体制ができていないのが現状のようです。
専門の機関となる民間教育との連携が課題ということですが、民間教育側の視点になってみると、
「学校側のどこまで入り込んでいいのだろう?」
と疑問に思ってしまいます。
また、民間教育となると、ビジネスの面でも見ないといけません。
ボランティアではないので、給与面が気になるところですが、学校と連携を行い、どれだけの給与が入ってくるのか、その時間やコストの問題などの、経済面の問題もあるように思えます。
それを踏まえた上でLDの子供を持つ保護者目線にたつと、現状公教育では質の高い指導を受けることは難しそうなので、はやり放課後等デイサービスなどの専門機関に子供を預けることがよさそうです。
本投稿は以上となります。
本投稿がLDの子供を持つあなたの一助になれば幸いです。

参考文献:
LD及びその周辺児に対する教育支援の実態と課題
https://core.ac.uk/download/pdf/144251643.pdf