元教師 黒目のブログ

元公立の教師で現在も子育ての世界で働いています。公教育、私教育合わせて約7年間仕事で子供を育てています。そんな中で役に立ちそうな知識や経験をアウトプットしていきたいと思います。

子どもの教育成果の決定要因って何?家庭内教育の問題点を科学的知見に基づいて解説してみた

どうもみなさんこんにちは。黒目です。
先日こんな論文を目にしました。

子どもの教育成果の決定要因
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2009/07/pdf/067-084.pdf

子どもの教育成果は様々な要因によって決定されますが、その中でもより成果を分けた要因は何かということを明らかにした研究です。
私自身出来る限り科学的知見に基づき指導をしているものの、それでも普段子供に行っている指導できちんと成果がでるのか?ということに疑問を覚えます。
これは教育熱心な親御さんならより感じるものではないでしょうか?
そんな方のために、今回この論文を要約&解説し、自分のしている教育が科学的にみて正しいものであるかどうかを認識したり、見直す上で一つの参考になればいいと思います。
では本投稿をご覧ください。

 

1 要約&解説
まずこの論文では家庭環境が子どもの教育成果に与える影響についてみています。
その一つとして、済学的な分析が行われており、その結果

家族構成が教育成果に与える純粋の効果を測定することが簡単ではない。 なぜなら, 母子/父子家庭という家族構成が生じたのは, 子どもに対する教育方針のような他の家庭環境と同様に親がとった行動の結果の可能性もあるからだ。

 

双子やきょうだいの調査を用いて, 家族構成が教育に与える影響を分析した研究結果は一致していない。 

となり、家族構成について科学的に明らかにすることは難しそうです。
では次に親の所得が教育成果に与える影響の調査結果を見てみると、

親の所得が高いこと自体は子どもの能力も学歴も高めないが, 家計内での教育時間,とくに親と質の高い時間を過ごすことは子どもの能力を高めることを指摘している。

 

母親の労働時間が子どもの教育成果に与える負の影響については既存研究の見解は一致していない。 

と、既往研究では説明されおり、所得が高いと能力が高くなることは確かだが、それ以外にも親御さんと接している時間の質が指摘されています。
さらに

失業率と平均体重は負, 低体重新生児の割合は正の関係にあること, 就業率と平均体重は正, 低体重新生児の割合はおおむね負の関係にあること, この傾向は男性だけでなく女性でも見られること, 女性の就業率と低体重新生児の割合を見ると就業率の低いところでは就業率が高いほど低体重児割合が多く, 就業率の高いところでは就業率が高いほど低体重児割合が少ないことが分かる

とも記述されており、親御さんの所得が子供への健康状態に影響していることが明らかにされています。ただしこれは因果関係が示されていないので、研究としての信憑性は疑問視されています。
ではその質とは具体的にどういうことかというと、

学校教育の段階で恵まれない子どもたちへの援助をしたところで, 就学以前の段階での家庭環境が悪いとあまり効果がないことも明らかにされている

という研究結果が出ています。
ようするに子供が育っていく上で家庭環境の良い悪いが子供の成長に影響し、また家庭環境が悪いと、良い教育を外で受けたとしてもあまり効果がないと指摘されています。
なので、やはり家庭環境は子供の教育結果に影響を与えるようです。
さらに子供の健康状態と教育結果については、

出生時の体重が学齢期の学力など教育成果と正の相関を持っているならば, 出生前に行われた親の健康投資が出生時の健康状態だけでなく, 長期的な子どもの成長につながる。 学力向上のためには, 出生時の家計を補助したり出生後の環境を良くするだけではなく,胎児期の行動に対する政策が必要なのかもしれない。

と、家計と学力の関係について影響が大きいことが指摘されています。

以上をまとめると
・経済学的な研究の結果, 母子家庭や父子家庭と家族構成そのものが, 教育成果に与える影響は小さい
・家庭環境は子供の教育結果に影響を与える
・出生時の体重が重いほどその後の教育成果にプラスの影響を与える
となります。

 

2 感想&考え
概ね予想通りだなというのが素直な感想です。
ただし出生率と教育効果については知らなかったです。
これについて論文でも書かれていたことですが因果関係がわからないので、なぜそうなるのか?については疑問に残り、すこしもやもやした感じになりました。
その他の結果については、私の経験からみても、一致する結果が多かったです。
私が今まで話をしてきた親御さんの中で
「私がこんなに時間と労力をかけて子育てしてるのになんでこの子はこんなに成果がでないのかしら!?」
などとでも言いたげな親御さんはいましたが、
この研究結果を踏まえた上で指摘するとしたら
「時間と労力に結果が見合ってないと考えるのであれば、親御さん自身の失業率と家庭環境について見直してみてはいかがでしょうか?」
と返すかもしれません 笑
ただこの論文は2009年に発表されたものですので、現在は少し事情が違ってくるかもしれませんが

本投稿は以上です。

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ここまで閲覧ありがとうございました。

 

参考文献:
子どもの教育成果の決定要因
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2009/07/pdf/067-084.pdf