元教師 黒目のブログ

元公立の教師で現在も子育ての世界で働いています。公教育、私教育合わせて約7年間仕事で子供を育てています。そんな中で役に立ちそうな知識や経験をアウトプットしていきたいと思います。

強迫性障害の患者のいる家族ってどれだけ大変か?こだわりが強い家族が身内にいる人へ向けて科学的に正しい改善案を解説してみた。

どうもみなさんこんにちは、黒目です。
先日こんな論文を目にしました。

強迫性障害の患者に影響を与える家族の要因と家族に対する 
支援に関する研究の動向と展望
https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/records/2000568#.YVaQeH1UuUk

この研究では強迫性障害の患者の家族はどのような現状にあるのか、その家族に対してどのように支援すべきなのかが研究されています。
強迫性障害とは簡単に言うと「強いこだわりがあり、日常生活に支障が出る障害」のことです。
頭から忘れたいのに忘れられず、そのせいで日常生活が困難である人はこの障害の可能性があると言われています。
今回はこの研究を元に、現状どんな課題があるのか、そしてその課題についてどのような助けが世の中にあるのかについて解説したいと思います。
そうすることで、もし現在進行形で強迫性障害の患者が家族にいる方、または強迫性障害の特性があるんじゃないか?と疑いがある家族の方は
「あれ?ひょっとして私、僕は今この研究で扱われている家族と同じ状況になっているかも・・・」
などと、自分を客観的に見る良い指標になると思われます。
また、
「正直毎日しんどい。でもこんな支援の方法が周りにあるなら一度相談してみようかな?」
などと、自分の課題に気が付いているけどどうすれば良いかわからない。という方は、周りにどういう支援があるのかを見ることで視野が広がり、その課題を解決できる道筋を立てるきっかけになるかもしれません。
なので、是非お心当たりがある方は今回のブログを参考にしていただければ幸いです。
では、今回の内容に入っていきます。

 

1 要約&解説
まず、強迫性障害の患者の家族はどのような現状にあるのかというと

Leonard et al.(1993)によると母親の77%,父親の49% が高い感情表出と評定されている。

 

Hibbs  et  al.  (1991)42)によれば,統制群の家族と強迫性障害の家族では高い感情表出を示す割合が有意に異なり,統制群の家族の41.5% が高い感情表出を示したのに対して強迫性障害の家族の81.6% が高い感情表出を示した。

など、感情の表し方(表情、口調、態度など)である感情表出が高い数値となり、女性はよりその傾向がみられるようです。
また

うつ症状,不安症状,ストレス症状といった家族の精神病理が Family Accommodation を予測すると報告されている


amily Accommodation とは強迫性障害の個人の儀式に家族が関与することです。要するに、精神病である家族が強迫性障害を持っている人って毎日やっている行動があります。強迫性障害を持っている人のルーティンですね。その自分が止めることができないルーティンに家族があれこれ言っていることが多いんじゃない?ということですね。

こだわりが強いひとからしてみれば

「俺だってやりたくてやってるわけじゃないのに!どうこういわないでくれー!」

って感じになっている光景が目に浮かびます 笑
では以上を踏まえて、現在周りにどのような支援方法があるかというと
まず患者本人へ向けての支援として

強迫性障害の患者に有効な支援は大きく分けて,薬物療法,行動療法,認知療法が挙げられる。

と、三つの療法による治療が効果的だそうです。
薬物治療においては

セロトニン再取り込み阻害作用を持つ薬物(Selective  Serotonin  Reuptake  Inhibitor:以下,SSRI)によって強迫症状の程度が50% 以下となる患者は50~60% であり,SSRIに反応のみられなかった強迫性障害抗精神病薬を付加した時の改善率は68% と言われている

と、SSRIの投与により約70%近く改善がみられているようです。
また、行動療法では

行動療法の中でも特に強迫性障害に用いられているのが暴露反応妨害法(Exposure and Response Prevention; 以下,ERP)である。ERP は暴露法と反応妨害法を組み合わせた治療法である。暴露法とは,不適応的な不安反応を引き起こす刺激に持続的に直面することにより,その不安反応を軽減させる治療法で,反応妨害法とは,強迫観念により引き起こされる不安や不快感を一時的に軽減するための強迫行為を行わずにすませる治療法とされる

 

というように、強迫観念による不安などを軽減する方向性である暴露法(ERPとなるものが有効だそうです。
そして家族に対しての支援としては、

家族のみを対象とした体系化された支援の1つに Supportive  Parenting  for Anxious  Childhood  Emotions  (SPACE)プログラムがある162)。SPACE プログラムは不安障害や強迫性障害の子どもを持つ親を対象にしたプログラムで,10回のセッションによって構成される163)164)。このプログラムでは実践的,具体的な方法で親の子どもへの関わりを支援するところが特徴であり,子どもの不安対処能力や親の内的な状態を制御する能力を高めるような関わりを親が取るだけでなく,親自身も子どもとの関係を改善できるようにする。

 

というように、親の子どもへの関わりを支援するSPACEプログラムというものがあります。
これによって患者とのかかわり方をよりスムーズにするということですね。

以上の改善案として有効なのは

SSRIの投与

・暴露法(ERP

・SPACEプログラム

などが、現在科学的に友好のある改善方法ということです。

 

2 感想&考え
僕自身公教育でも民間教育でも変なこだわりをもつ子供を多く見てきました。
その中で保護者と話をして、子供の様子などを伝え、より健全に子供が成長するように手助けしていったのですが、
今回論文を読み調べていく中で、
「今まで自分がやってきたのは暴露法っていうのか」
「SPACEプログラムか~そんなものがあったんだな~」
というように、経験として自然と身に着けていったのもが、科学的にどのような立ち位置にあるものなのかを確認できました。
私自身の経験から見ても、上記のような方法でご家族の負担を軽減し、子供をより健全に成長していけると思うので、現在冒頭で例えたような困り方をしている方は是非参考にしてみてください。
今回は以上となります。
本投稿は以上です。

 

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当ブログはあなたの子供の子育ての一助になれば幸いです。

ここまで閲覧ありがとうございました。


参考文献
強迫性障害の患者に影響を与える家族の要因と家族に対する支援に関する研究の動向と展望
https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/records/2000568#.YVaQeH1UuUk